65歳以降、年金だけでは暮らせない
厚生年金の上乗せがあっても暮らしに不安がある人がほとんど、まして基礎年金だけで暮らすのは厳しいでしょう。切り崩してやっていけるほどの貯金があればよいですが、何歳まで生きるのかは誰にも分りませんし、なかなか難しいです。
そこで高齢者が利用できる資金調達の方法を3つお知らせします。
1. 信用金庫のシニアローン
多くの信用金庫や一部の地方銀行はシルバー向けローンを用意しています。
高齢者層は人口も多く、年金という安定収入があります。信用金庫では貸出金額をコントロールすれば優良な融資先になると見て、専用の金融商品を用意しています。
各シニアローンの特徴
満60歳以上~最終返済時満80歳以下
融資額は100万円まで
金利は年2.5%前後
シニアローンのデメリット
生活費の補填として利用する分には十分な金額ですが、リフォーム費用や施設入居の頭金としては物足りなく感じます。
また80歳になるまでに返済し終わっている必要があり、なおかつ81歳以降だと新規借り入れできなくなるため、『81歳以上になっても生きている間は時々利用したい』という方には年齢制限がネックになります。
2. リバースモーゲージ
リバースモーゲージとは、自宅(持ち家)を担保にして、その家に住み続けながら融資を受けられるシニア向けの融資制度です。死亡後に自宅を売却し、その代金で借り入れ金を一括返済します。
リバースモーゲージの特徴
持ち家に住み続けられる
返済は死亡後に持ち家を売却して行う
資金使途は自由
現在の持ち家に住み続けたい
相続人(子供等)も持ち家がある
相続人も他県等で生活基盤があり、今後戻ってくることはないため家は必要ない
このような人はリバースモーゲージの利用に向いています。
信用金庫のシニアローンより大きな金額を借り入れできるため、リフォーム資金や配偶者の介護施設入居費など、まとまった金額が必要になる色々なことに対応できます。
リバースモーゲージで考えられうるリスク
長生きするとお金が足りなくなる!?
長生きすると、最初に設定された融資限度額まで資金を使ってしまうリスクがあります。
持ち家の評価額によって、自分が借りれる金額も変わってきます。借り入れできる金額は評価額の50%前後が相場ですので、例えば評価が1千万円の不動産なら、借り入れできるのは500万円程となります。
場合によってはリバースモーゲージで借り入れたお金を使い切ってしまい、その後の生活に困るケースも考えられます。
また不動産は経年劣化もありますし、土地価格の変動もあります。途中で評価額が下がってしまった場合、最初に契約していたより融資額が下がってしまいますし、その時点で下げられた金額分借り入れしてしまっていれば、それ以上借りれなくなり、やはりその後の生活に困ることになります。
金利変動のリスクがある
リバースモーゲージは変動金利のみのため、金利が変動して利息が高くなってしまうこともあります。
生存中は利息の支払いのみで、借り主の死亡後に担保を売却して一括返済となりますが、金利が高くなると月々の利息の支払いが大変になってしまう可能性があります。
もし返済金が足りなかったら?
リバースモーゲージで融資を受けた分は、死後に自宅を売却して一括返済となりますが、ここにもリスクがあります。
万一不動産の売却額が借り入れ金額に満たなかった場合、遺族が足りない分を支払わなければならない場合があります。
金融機関によって方針が違いますので、免責になるのかならないのか、そういった条件面もよく比較して借り先を選ぶ必要があります。
3. 不動産担保ローン
不動産担保ローンの特徴
借り入れ限度額が大きい
返済期間を長期に設定できるため、月々の返済額をコントロールしやすい
資金使途は自由
不動産担保ローンの注意点
不動産担保ローン専門融資会社から借りるべし
不動産担保ローンを取り扱う金融機関は銀行など色々ありますが、ネックは年齢制限にあります。
年齢の上限がないところを選ぶ必要がありますので、基本的にはノンバンクの融資会社から借りることになります。
その中でも不動産担保ローンだけを専門的に扱うところを進める理由は、不動産に関する知識と実際に融資した実績の豊富さです。
不動産担保ローンも数あるローンの種類の一つですが、やはりそれだけを極めているだけあって、多少評価が難しいような物件でも過去に融資した実績があります。
不動産担保ローンで借りれる金額は、不動産の評価額に大きく左右されます。
評価額が下がるのは売るのが難しいからです。売れる自信やノウハウがあれば、その不動産を高く評価することができます(※もちろん担保を売るのはあくまで万一の時の最終手段です)。
リバースモーゲージの借り入れ可能額の相場は、不動産評価の5割です。不動産担保ローンの場合は不動産評価の7割前後ですので、同じ不動産を担保にするのでも金額が大きく異なります。
いくら必要なのかによっても、資金調達方法は変わってきます。
もし不動産担保ローンで資金調達を検討するなら、絶対に不動産担保ローンだけを専門にしている会社から借りることをお勧めします。
融資の際に手数料がかかる
不動産担保ローンで融資を受ける際には、事務手数料などが必要になります。そのため融資額からこれらの金額を引いた金額が振り込みされます。
ただしこれらの事務手数料分も金利に組み込まれますので、トータルで見ればやはり低金利なローンとなります。
返済できなくなると不動産を失う
人生には転職・リストラ・子の進学等、収入が下がったり生活に必要な資金が増えたりするライフイベントがありますが、高齢者の場合はこうしたライフイベントは済んでいる人がほとんどだと思いますので、慎重にローンプランを組むことで回避できます。